ニッケルは、ステンレス側にだけ効く。
国内のステンレス鋼板から始めて、輸入の中間材、ニッケル地金と為替、国際相場へと一段ずつさかのぼる。各段では同じ期間に何が動いたかを並べるだけに止める。
要点
- PRODUCTステンレス冷延鋼板の指数は2026年7月に157.9(2020年平均=100)、2025年7月から+7.2%。
- IMPORT & FX直近12か月(2025年7月〜2026年7月)の円建て変化+22.0%の内訳は、ドル要因+10.6%・為替要因+10.3%。
- GLOBAL国際相場の局面は上昇・減速中(2026年7月の前年同月比+10.6%、前月は+17.2%)。
川上から川下へ(4段を1枚で)
4本とも同じ基準にそろえた指数。線の色は段の色と同じで、上から順に国際相場・輸入の地金・輸入の中間材・国内の製品にあたる。同じ画面に並べているだけで、線どうしの関係は判定しない。
製品の公表指数は上がっているか
国内のステンレス冷延鋼板と特殊用途鋼
どちらも収録の始まりが同じ月にそろっている。指数であり、金額ではない。
ステンレス冷延鋼板の指数は2026年7月に157.9(2020年平均=100)。2025年7月から+7.2%、2020年平均から+57.9%。
国内で調達する材料はどう動いたか
輸入のステンレス鋼板と、国内のステンレス冷延鋼板
縦の破線は、収録の始まりが遅い系列の始期。それ以前の期間は片方の系列しか描かれない。始期が違う区間どうしを比べない。
同じ12か月(2025年7月〜2026年7月)で、輸入の中間材のうち最も動いたのはステンレス鋼板(輸入・円ベース)(+18.7%)。
輸入段階ではいくらで、為替はどれだけ効いたか
国際価格と輸入物価指数(基準をそろえた比較)
日本銀行は輸入物価指数「ニッケル地金」に国際通貨基金の一次産品価格を採用し、2か月から3か月前の平均値を当てている。作り方の上で、輸入物価指数の山や谷は国際価格より後ろにずれて現れる。
円建ての変化の内訳(暦年ごと)
2020年12月〜2026年7月前年12月から当年12月まで(最新年は最新の共通月まで)の変化率を、ドル建てと為替に分けて積む。逆向きの年は打ち消さず、上下に分かれて伸びる。
ニッケル地金の輸入物価は2026年7月に円ベース206.7、契約通貨ベース135.8(2020年平均=100)。比は1.52倍で、2020年以降の為替変動の累積にあたる。直近12か月の円建て変化+22.0%の内訳は、ドル要因+10.6%・為替要因+10.3%。
世界の相場はどう動いたか
ニッケル 国際価格と円換算
印は直近の一定期間における最高値と最低値の月。円換算は同じ月の月中平均レートによる参考値である。
国際価格の前年同月比
2026年7月棒が0より上なら1年前より高く、下なら1年前より安い。棒の高さが前月より伸びているかどうかが、局面の判定に使う手がかりになる。
国際価格は2022年3月の33,924 米ドル/トンから2026年7月に-51.0%。同じ期間にステンレス冷延鋼板の指数は+21.2%。
SUS304 は18Cr-8Ni系のオーステナイト系ステンレス鋼で、成分としてニッケルを含む(JIS G 4304/4305)。SUS430 はクロム系のフェライト系で、ニッケルを含まない。溶加材は JIS Z 3321・JIS Z 3221 に規定され、母材に準じた成分で作られる(SUS304 用はYS308系)。 原料構成の上では、ニッケルの相場はオーステナイト系の材料に現れ、フェライト系には現れにくい。
示せないこと
- 溶接棒・溶接ワイヤの実売価格。ここで扱うのは出荷段階の生産者価格の指数であり、商社・販売店を経た取引価格ではない。
- シールドガス(アルゴン・炭酸ガス)の価格。対応する公表系列を持っていない。
- 原料炭の銘柄別価格。輸入物価指数は品目単位の指数であり、銘柄までは分解できない。
- 輸入プレミアム。地金の受渡条件ごとの上乗せ分は、ここで使う公表系列に含まれない。
- 相場と製品価格の因果関係。系列は並べて示すだけで、どちらがどちらを動かしたかは判定しない。
この数字の読み方
国際価格が下がった月でも、円建ての水準が下がらないことがあるのはなぜか
円建ての価格は、外貨建ての価格と為替の掛け算になる。外貨建てが下がっても、同じ期間に円安が進めば、円建ての下げは打ち消される。本ページでは、直近1年の円建ての変化を外貨建ての変化と為替の変化に分けて示す。両者が逆向きに動いた期間は、寄与率を1本にまとめず、それぞれの変化率を並べて出す。
輸入物価指数が、国際価格より遅れて動いて見えるのはなぜか
日本銀行の輸入物価指数「ニッケル地金」は、国際通貨基金の一次産品価格を採用し、2か月から3か月前の平均値を当てている。作り方の上でさかのぼった時点の価格が入るため、山や谷は国際価格より後ろにずれて現れる。ずれの大きさは作成方法によるものであり、市況の遅れを表すものではない。
オーステナイト系とフェライト系で、見る指標を変える理由は何か
SUS304 は18Cr-8Ni系で、成分としてニッケルを含む。SUS430 はクロム系のフェライト系で、ニッケルを含まない。溶加材は母材に準じた成分で作られ、SUS304 用にはYS308系が用いられる。したがって原料構成の上では、ニッケルの相場は304系の材料に現れ、430系には現れにくい。どちらの材料の話かによって、見るべき系列が変わる。
出典と更新
本ページで扱う系列の出典・単位・収録期間・最終取得を列挙する。
指数は金額ではない。系列ごとに収録の始まる月が違うため、始期の異なる区間どうしは比べない。