溶接ロボットオペレーターは、溶接ロボットに動作を教え、稼働を見守り、不具合が出れば手を入れる役割を担う。溶接工が自分のトーチで溶接するのに対し、オペレーターはロボットに溶接させる側に立つ。手を動かす対象が変わるだけでなく、法令上必要になる教育の組み合わせも変わる。このページでは、仕事の中身を教示・監視・検査の3つに分けて整理し、それぞれに対応する特別教育を条文にもとづいて示す。

この記事のポイント

  • 溶接ロボットオペレーターの仕事は、教示(ティーチング)・稼働中の監視・検査や調整の3つに大きく分かれる。
  • 可動範囲内で駆動源を遮断せずに行う教示は、労働安全衛生規則第36条第31号の「教示等」に当たり、特別教育の対象になる。
  • 可動範囲内で運転中に行う検査・修理・調整とその結果の確認は、同第32号の「検査等」として別の教育が要る。
  • 溶接そのものをアーク溶接機で行う業務は、同第36条第3号のアーク溶接等の特別教育という別の枠になる。ロボットの教育とは対象業務が違う。
  • 溶接工から移る場合、既に持っている溶接側の教育はそのまま活き、ロボット側の教育が上乗せになる関係だ。

溶接ロボットオペレーターの仕事内容

教示(ティーチング)

ロボットに溶接の軌跡と条件を教え込む作業だ。溶接線に沿って教示点を取り、動作の順序・位置・速度を決めていく。ワークが変われば教示をやり直すため、多品種の現場ほど教示の比重が上がる。

溶接の勘所を知っているかどうかが、ここで効く。狙い位置や角度、溶接条件の組み立ては、手溶接で身につけた判断がそのまま使える領域だ。方式ごとの違いは溶接ロボットのティーチングとはで扱う。

稼働中の監視

ロボットが動いている間、アークの状態やビードの出来を見て、異常があれば止める。連続運転では、ワークのセットと取り出し、治具の確認、消耗品の交換も回ってくる。

監視そのものは可動範囲内に立ち入らずに行う場面が多い。ただし、稼働中に可動範囲内へ入って何かをするなら、その作業がどの号に当たるかを判断する必要がある。

検査・調整

溶接結果を確認し、ずれがあれば教示点や条件を直す。トーチの芯出し、ノズルやチップの交換、治具の当たり調整なども入る。可動範囲内で運転中に行う検査・修理・調整とその結果の確認は、条文上「検査等」として教示等とは別に扱われる。

必要になる特別教育の組み合わせ

労働安全衛生規則第36条は、危険または有害な業務を号ごとに列挙している。溶接ロボットオペレーターに関わるのは次の3つで、それぞれ別の業務として定められている。

対象業務

条件

第36条第31号(教示等)

可動範囲内で行うマニプレータの動作の順序・位置・速度の設定・変更・確認

駆動源を遮断して行うものを除く

第36条第32号(検査等)

可動範囲内で行う検査・修理・調整およびこれらの結果の確認

運転中に行うものに限る

第36条第3号

アーク溶接機を用いて行う金属の溶接、溶断等の業務

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第31号と第32号は、担当する作業に応じてそれぞれの教育が要る。両方を担当するなら両方だ。教示等の特別教育は計10時間以上、検査等は計13時間以上と、安全衛生特別教育規程の第18条・第19条で科目と時間が定められている。制度全体の整理と受講方法は産業用ロボット特別教育で扱う。

なお、第31号・第32号のいずれも、可動範囲内で作業する労働者と共同して可動範囲外で機器の操作を行う者を含んでいる。ロボットの外で操作盤を扱う役割でも、可動範囲内の作業者と組んでいるなら対象に入る。

アーク溶接特別教育との関係

アーク溶接機を用いた金属の溶接・溶断等の業務は、労働安全衛生規則第36条第3号に定められた別の業務だ。産業用ロボットの教示等・検査等(第31号・第32号)とは号が違い、対象になる作業も違う。

この2つは代替の関係にない。アーク溶接特別教育を修了していても、それだけで可動範囲内の教示等ができるわけではない。逆に、産業用ロボットの特別教育を修了しても、それが第3号のアーク溶接等の業務をカバーするわけでもない。担当する業務ごとに、対応する号の教育が要るという関係だ。

溶接工から溶接ロボットオペレーターへ移る場合、既に第3号の教育を受けているなら、その部分をやり直す必要はない。上乗せになるのはロボット側の教育だ。自分で溶接しつつロボットも扱う働き方であれば、両方を持っておく形になる。アーク溶接側の制度はアーク溶接特別教育で扱う。

溶接工からの移り方

溶接ロボットオペレーターは、溶接の知識を持つ人が就きやすい役割だ。教示点の取り方も、溶接条件の判断も、溶接そのものを知らないと決められない。ロボットの操作を覚えることと、溶接の判断ができることは別の能力で、後者は現場で溶接をしてきた人が既に持っている。

制度の側から見ると、必要な手順ははっきりしている。担当する作業が第31号の教示等に当たるのか、第32号の検査等に当たるのか、その両方かを整理し、対応する特別教育を受ける。順番としては、まず担当作業を条文に当てはめるところから入るのが確実だ。

溶接に関わる資格の全体像は溶接の資格のピラーで確認できる。どの資格から手をつけるかの順路はキャリアナビで整理している。

出典・集計方法・最終確認日

  • 対象業務の区分(教示等・検査等・アーク溶接等):労働安全衛生規則(第36条第3号・第31号・第32号)|e-Gov法令検索|https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000032 |参照2026-08-05
  • 教示等・検査等の科目と時間(計10時間以上/計13時間以上):安全衛生特別教育規程(第18条・第19条)|厚生労働省 法令等データベース|https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=74085000&dataType=0 |参照2026-08-05
  • 集計方法:対象業務の区分・科目・時間は、いずれもe-Gov法令検索および厚生労働省の一次情報にもとづく。溶接ロボットオペレーターの年収・求人件数・需要の推移については、職種の集計軸がそろった一次情報を確認できなかったため記載していない。アーク溶接等の特別教育の科目・時間は本記事の範囲外とし、姉妹記事に委ねた。
  • 最終確認日(lastVerified):2026-08-05 集計:MONOSCOPE編集部